移動平均線を利用した手法としてよく知られているものに、ゴールデンクロスというものがあります。
今回はこのゴールデンクロスで、どのくらいの勝率を上げることが出来るのか検証してみたいと思います。
ゴールデンクロスとは?
最低2本の移動平均線がクロスした場合にエントリーをするというものですが、ゴールデンクロスとは移動平均線1本が、もう1本を上抜けした状態をいいます。
上記の例では中期線の赤色を短期線の青色が上抜けした状態です。
その後に、多少のレンジがありながらも上昇トレンドを形成していることが分かります。
今回の場合は、このゴールデンクロスを確認後に「買い」ポジションを持っていれば、利益を取れたことが分かります。
ゴールデンクロスを利用する時の注意点
ゴールデンクロスは「だまし」が非常に多い傾向にあります。
よって「だまし」を回避するための注意点を挙げてみます。
ゴールデンクロス後にすぐエントリーをしない
上記の図のようにピンク丸でゴールデンクロスが形成されたようです。
この時点ですぐに「買い」ポジションを持ってしまうと、上記のチャートの場合はレンジを形成して、その後に下落しました。
黄色丸辺りで恐らく損切りとなっていたと思います。
さらによくあるパターンとして、ゴールデンクロスを形成したように見えた場面で、ローソク足が確定する前にエントリーをしてしまい、その後にローソク足が極端に長い陰線を形成して、ゴールデンクロスを形成しなかったということもあります。
よって移動平均線がクロスして、すぐにエントリーをしてしまうのはよくありません。
かと言ってゴールデンクロスはクロスが完成するのが、ローソク足がかなり上昇した後になることが多いので、エントリーが遅すぎるとトレンドが終わっていることがあります。
タイミングが難しいため、以下の注意点も参考にしてください。
ゴールデンクロスの角度を意識する
上記のチャートではピンク丸の所でゴールデンクロスが完成しております。
この時の短期線である青線は黄色の矢印で分かりやすく示したように、角度が急であることが分かります。
このような場合の方が、その後の上昇を期待できるため、なるべく角度が急なものを選ぶほうが良いです。
他のインジケーターと組み合わせる
移動平均線2本+MACDの例です。
個人的には、この組み合わせが良いような気がします。
移動平均線2本+RSIです。
この組み合わせも良いと思いますが、上記の例ではゴールデンクロスをしたポイントでRSIは「買われすぎ」を示唆していますので、エントリーは難しいかもしれません。
その他に移動平均線2本+ストキャスティクスなども良いと思います。
移動平均線2本+MACD、移動平均線2本+RSI、移動平均線2本+ストキャスティクスなど、いずれも全てにおいてエントリーサインが出たら必ず利益が出るものではありません。
さらにインジケーターの出しすぎにも注意してください。
移動平均線2本+MACD+RSI+ストキャスティクスなどを表示させても勝率は上がりません。
リスク管理を徹底する
いずれのやり方をしても一番大事なことは、リスク管理です。
ダメだった時のことを考えてリスクを最小限に抑えるようにして、自分で決めた損切り位置をしっかりと守るようにしましょう。
さらに長期足の相場環境がどうなっているのかしっかりと確認をしてください。
大きな流れに乗る方が勝率は上がります。
検証条件
検証する時間足は月足、週足、日足、4時間足、1時間足、30分足、15分足、5分足、1分足の9種類です。
検証期間はランダムで任意の期間を選択しました。
通貨ペアはトレンドが出やすいと言われているユーロドルで検証します。
チャートはMT4を利用して、それぞれの時間足で1画面に写っている範囲で検証します。
チャートを後から見ての判断となります。
移動平均線の使用する期間は、短期線(5)を赤色、中期線(20)を水色、長期線(100)をピンク色としてみます。
長期線の上に中期線があり、その中期線を短期線が上抜け確定したと思われるポイントで「買い」を行ったと仮定して勝率を計算します。
損切り位置をどこにするかによって勝率は変わってくるかと思います。
今回は中期線(20)の少し下くらいを損切り位置にします。
リスクリワード1:1以上が取れたと判断したら「勝ち」とします。チャートの方がわかりやすいと思いますのでチャートで示します。
以上を今回の検証条件とします。
いろいろな設定条件によって結果は変わってくるかと思いますので、目安として考えていただけたらと思います。
月足
短期線が中期線を上抜けしていると思われるポイントは6カ所です。
なおチャートにも記入しておきましたが、左の方は100日移動平均線が確定していないため無駄なトレードを減らすためカウントしないこととします。
① リスクリワード1:1以上あると思われます。→勝ち
② このもう一つ上のチャートで示した検証条件に使ったポイントです。ギリギリですがリスクリワード1:1あると判断します。→勝ち
③ リスクリワード1:1以上あると思われます。→勝ち
④⑤⑥ 100日移動平均線が一番上に来ているため、短期線が中期線を上抜けしてもエントリーしないこととします。→ノートレード
なお④の少し右上で短期線の赤色が長期線のピンク線を上回っていますが、上から短期線、中期線、長期線となっていない場合はエントリーしない方が良さそうですのでトレードはしないこととします。
3勝0敗
週足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは1カ所
① リスクリワード1:1以上あります。→勝ち
②③ この2つは上から短期線、中期線、長期線の順番になっていることからエントリーをしたいポイントではありますが、今回の検証条件である長期線の上で短期線が中期線を上抜けするという条件にはあてはまらないためノートレードとします。
中期線が長期線を上抜けしているため、これをゴールデンクロスと判断して「買い」エントリーをするのも一つの方法かと思いますが、中期線が長期線を上抜け確定するにはかなり待たないといけません。
そうしますとトレンドが終わりかけの時にエントリーしてしてしまう危険性もあることから、今回はノートレードとします。
1勝0敗
日足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは3カ所としました。
① リスクリワード1:1以上あります。→勝ち
② ゴールデンクロス確定後にすぐに下降しております。損切りです→負け
③ ゴールデンクロス確定後に一度下落、その後に上昇です。損切り位置の条件として水色の20日移動平均線をヒゲで下回っています。
20日移動平均線のすぐ下を損切り位置にするという条件のため、ヒゲで駆られ損切りに合っていると思われます。→負け
もう少し損切り位置に余裕を持たせれば勝てるポイントではありました。
1勝2敗
4時間足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは5カ所としました。
① 上記のチャートでは利益が取れているように見えますが、リスクリワード1:1はないポイントでした。→負け
② ゴールデンクロス確定後に下落しているため損切りです。→負け
③ リスクリワード1:1以上あります。→勝ち
④ ゴールデンクロス確定後に下落しているため損切りです。→負け
⑤ リスクリワード1:1以上あります。→勝ち
2勝3敗
1時間足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは5カ所としました。
①~⑤ リスクリワード1:1以上あるように思います→勝ち
⑥ 拡大してみましたが短期線と中期線がクロスしているのか、していないのか微妙な状態でした。よってノートレードにしておきます。
5勝0敗→全体に大きなトレンドが出ているため勝ちの方が多くなっていますね。
30分足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは3カ所としました。
①② リスクリワード1:1以上あるように思います→勝ち
③ ゴールデンクロス確定したと思われるポイントから一度下落しております。
20日移動平均線で下ヒゲを付けておりますので、ここで駆られた可能性があります。→負け
ここも損切り位置に余裕を持たせれば利益の取れた箇所だと思われますので、20日移動平均線のすぐ下を損切り位置にするのは厳しすぎたかもしれません。
2勝1敗
15分足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは5カ所としました。
①③ リスクリワード1:1以上あるように思います→勝ち
②④ ゴールデンクロス確定したと思われるポイントからすぐに下落しております→負け
⑤ 赤丸の少し右に長い下ヒゲがあります。ここで損切りになっているかどうか微妙ではあります。
ですがスプレッドを考慮に入れると恐らく損切りになっていると思われるため→負けとします。
2勝3敗
5分足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは3カ所としました。
① 判断に迷いますがリスクリワード1:1はありそうです→勝ち
② ゴールデンクロス確定後に一度下落し移動平均線で下ヒゲを付けています。
ぎりぎり損切りは回避できているように見えることから→勝ち
③ ゴールデンクロス確定後にたいして上昇せずに下落しているため→負け
2勝1敗
1分足
短期線が中期線を上抜けしているポイントは1カ所としました。
① リスクリワード1:1以上あるようです→勝ち
1勝0敗
結果とまとめ
19勝10敗 勝率65.5%という結果となりました。
今回日足で上昇トレンドが出ていたため良い結果となったようです。
以前、MT4でゴールデンクロスの勝率を自動で検証できる機能で計算した所、勝率は4割程でした。
検証する時期、条件によって変わってくるかと思います。
水平線やトレンドライン、トレード時間など他の根拠も交えてエントリーポイントを探してみることをおすすめします。
今回はゴールデンクロスのみで検証をしましたが、もう一つデッドクロスと呼ばれるものも存在します。
これは短期線が中期線もしくは長期線を下抜けするというものです。
価格は下落の方が勢いが強いので、早めに利食いまで持っていきたい場合はデッドクロスを狙うほうが良いかもしれません。
ですが、今回は手法の中で、最も基本的なゴールデンクロスの解説に焦点を当ててみました。
参考にしていただければ幸いです。
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