フィボナッチにもいくつかの種類がありますが、基本的に自然界の法則を応用したものとなっております。
今回はその中でフィボナッチ・ファンと呼ばれるものを紹介します。
引き方や使い方が分からないという方向けに詳しく解説した内容となっています。
そしてどのくらい勝てるものなのかも調べてみたいと思います。
フィボナッチ・ファンとは?
例えば下降トレンドの時に永久に同じ方向へ進み続けるということはなく、一旦上がるポイントが出てきます。
戻り目と解釈することもできます。
その際にどのくらい上がるのかを検討する際に目安となるのが、フィボナッチ・ファンということになります。
フィボナッチの中ではフィボナッチ・リトレースメントが一番有名かと思いますが、フィボナッチ・ファンはこれの斜め線のバージョンとなります。
この記事のTOP画像をもう少し詳しく解説してみます。
まず赤矢印で示したように下降トレンド継続中と判断してよいかと思う状況です。
そして底をつけて青矢印で示したように上昇し始めました。
この際にどのくらいまで上昇するかの目安として参考になるのがフィボナッチとなります(下降トレンドの場合)
そしてそれ以外にも、このラインを節目の判断として使用することもあります。
今回はフィボナッチ・ファンの説明ですので斜め線を参考にします。
フィボナッチ・リトレースメントと同じで注目するのは38.2%、50.0%、61.8%となります。
この3つが反転しやすいポイントとなるというのが、自然界の法則を応用したフィボナッチの考えとなります。
では実際にこのラインが機能しているのかということですが、赤丸で示したポイントはきれいにラインに反応しているように見えます。
そして黄色丸の所ですが、きれいに反応はしていないもののライン付近で相場の流れが変わっているように見えることから参考にするのは良いかもしれません。
フィボナッチ・ファンの歴史
フィボナッチ・ファンは、チャートの高値と安値を結ぶ直線から、フィボナッチ数列に従って一定の割合で引き出したラインを表示するテクニカル指標です。
フィボナッチ・ファンの歴史は、13世紀にイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが著した『フィボナッチ数列』にまで遡ります。
フィボナッチ数列とは、0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・・・と続きます。
フィボナッチ数列は、自然界の様々なモチーフに見られ、黄金比と呼ばれる比率と関連しています。
さらに、金融市場や商品市場など、さまざまな市場で分析に活用されています。
フィボナッチ・ファンは、1923年にアメリカのチャートアナリストであるリチャード・ドールによって考案されました。
ドールは、フィボナッチ数列を活用して、トレンドの転換点や戻り幅を予測する方法を考案しました。
現在では、トレンド分析やエントリー戦略に活用されています。
トレンド分析では、フィボナッチ・ファンのラインを使って、トレンドの方向や転換点を見極めることができます。
エントリー戦略では、フィボナッチ・ファンのラインを使って、エントリーポイントを絞り込むことができ、トレーダーにとって有用なツールの一つとなっています。
しかし、フィボナッチ・ファンはあくまでもテクニカル指標のひとつであり、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い予測を行うことができます。
また、フィボナッチ・ファンは、機械的な指標ではないため、トレーダーの経験や判断が重要です。
フィボナッチ・ファンの利点
フィボナッチ・ファンの利点として、トレンドの強さを把握することが出来るということが挙げられます。
フィボナッチ・ファンとは?で使った図です。
赤矢印で示したように相場が下がってきました。
この次に青線で示したように上昇を始めたのですが、下降の勢いが強い場合は「38.2%」で反転をして再度下降に向かうということが多くなります。
ただ上記のチャートは「50.0%」で反転をしたようです。
下降の勢いがなくなってきたことが分かりますね。
それを示すかのように、その後上昇に転じています。
このように相場の勢いを把握するのに役立ちます。
次にエントリーと利益確定のタイミングを計ることにも利用できます。
例えば上記の例ですと、赤線で示した下降で「売り」ポジションを持っていたとします。
その際に青線で示したような上昇に変わりました。
それが一番左の黄色丸「50.0%」で反転したため、下降の勢いは少し弱いと判断してここで利益確定を検討するのも良いと思います。
もしくは、反転をしたのですから、もう少し粘ってみるのも良いかもしれません。
その際に一番左の赤丸で反転上昇したのを確認して、全体として下降の勢いは弱まったと判断して利益確定をしても良いかと思います。
さらに一番右の赤丸のように押し目を形成して、「61.8%」ラインを背に上昇を始めたと判断してエントリーを考えるのも良いかと思います。
以上のようにフィボナッチ・ファンで引いたラインを元に、エントリーや利益確定の場所を探すことも出来ます。
フィボナッチ・ファンの引き方
フィボナッチ・ファンの引き方として絶対に大丈夫というものは存在しないように思います。
ですが、上昇トレンドを例にとると、基本的に自分の見ている時間足の最安値から最高値に引いてみてフィボナッチ・ファンのラインを基準にどのくらい下がるのかを検討するのが良いかと思います。
ただ精度としては長期足の方がラインに反応しているようにも思えます。
あとは、エリオット波動の第1波を起点に第5波の最高値を利用して引いてみるのも良いかと思います。
そうすることによってエリオット波動の下降第1波~第3波がどの辺りまで下がるかを検討するのに、フィボナッチ・ファンのラインが一つの目安となるでしょう。
それ以外にも最安値を基準に、高値の起点をいくつか変更をしてみてラインに反応している所を探してみるのも良いかと思います。
引き方の具体例は下記の「どのくらい勝てるのか?」を参考にしてみてください。
どのくらい勝てるのか?
勝率に関してですが、これは通貨ペア、時間帯、時期、どのポイントを基準にフィボナッチ・ファンを利用するか、エントリーポイント、損切り位置などによって変わってくるかと思います。
よってどのくらい勝てるのか?ということですが、フィボナッチ・ファンのみで利益が出た、出ないを判断するのは非常に難しいです。
よって検証基準としてラインに反応したか、していないのかを調べてみようと思います。
今回はユーロポンドの月足、日足、4時間足、1時間足、5分足を調べてみようと思います。
月足
ユーロポンドの月足です。
まず青丸2点を基準にフィボナッチ・ファンを引いてみました。
よって検証はこれ以降のローソク足がラインに反応しているかを見ます。
赤丸がほぼラインに反応していると思われるポイントです。
黄色丸は反応していると判断するには少し無理があるかなと思いますが、反応していると思っても良さそうな気がします。
月足は明らかに反応しているポイントが多いという結果になりました。
日足
ユーロポンド日足です。先ほども説明した内容となりますが、基本的にフィボナッチ系はチャート画面の最安値と最高値を基準に使用すれば良いかと思います。
ですので今回青丸の2か所を基準に引いてみたのですが、恐らくコロナの影響で急上昇したためか、その後はラインが機能しなくなっています。
唯一判断できそうなのが3カ所で黄色丸は反応していないポイント、赤丸は反応したであろうポイントです。
フィボナッチ・ファンの引き方を変えてみます。
先ほどと同じくユーロポンド日足です。
先ほどの最高値の直近で基準となるポイントを探し上記の青丸2か所で引いてみました。
その後なんですが、赤丸がラインに反応したと思われるポイント、黄色丸が反応していないように見えるポイントです。
赤の方が多い結果となりました。
4時間足
ユーロポンドの4時間足です。
こちらは上の方で説明したものと同じになりますので、解説はそちらに譲ります。
1時間足
ユーロポンドの1時間足です。
まずは青丸の2点を基準にフィボナッチ・ファンを引き、その後に青丸以降でラインに反応しているかを調べています。
赤丸が反応しているように思えるところ、黄色丸は反応していないように思えるところです。
ここで1つ注意点があります。
反応しているかしていないかを調べていますが、ラインに反応している=ラインで反転という訳ではないです。
ラインで今までの動きが止まったように思われる→また同じ方向へ動くということもありますので、ラインで逆張りをする場合は別の根拠と組み合わせえて検討する必要があるかと思います。
5分足
ユーロポンドの5分足です。
青丸2か所を基準にフィボナッチ・ファンを引き、その後ラインに反応したかを調べます。
赤丸が反応しているように見えるポイント、黄色丸は反応していないように見えるポイントです。
これを見ると短期足でもラインが機能しているように見えます。
以上がフィボナッチ・ファンの検証となります。
フィボナッチファンの注意点
フィボナッチ・ファンは、チャートの高値と安値を結ぶ直線から、フィボナッチ数列に従って一定の割合で引き出したラインを表示するテクニカル指標です。
トレンドの転換点や戻り幅を予測するのに役立ちますが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
あくまでもテクニカル指標のひとつ
フィボナッチ・ファンは、トレンドの転換点や戻り幅を予測するのに役立つツールですが、絶対的な指標ではありません。
他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い予測を行うことができます。
時間軸によって精度が異なる
フィボナッチ・ファンは、時間軸によって精度が異なります。
短い時間軸では、フィボナッチ・ファンのラインを超えてもトレンドが継続することがあります。
そのため、フィボナッチ・ファンを使用する際は、時間軸を意識して使用することが重要です。
他のテクニカル指標と組み合わせて使うのがおすすめ
フィボナッチ・ファンは、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことで、より精度の高い予測を行うことができます。
たとえば、ボリンジャーバンドやMACDなどのテクニカル指標と組み合わせて使用することで、トレンドの方向や転換点をより正確に判断することができます。
経験や判断が重要
フィボナッチ・ファンは、機械的な指標ではありません。
トレーダーの経験や判断が重要です。
フィボナッチ・ファンのラインを超えたからといって、必ずトレンドが転換するわけではありません。
トレンドが転換する可能性が高いと判断した際に、エントリーや決済を行うことが重要です。
トレードに絶対的な答えを与えるものではない
フィボナッチ・ファンは、トレードに絶対的な答えを与えるものではありません。
フィボナッチ・ファンは、トレンドの転換点や戻り幅を予測するためのツールです。
トレーダーは、フィボナッチ・ファンを参考にしながら、自らの判断でエントリーや決済を行う必要があります。
フィボナッチ・ファンは、トレードの勝率を高めるために役立つツールです。
しかし、フィボナッチ・ファンを利用する際には、上記の注意点を理解しておくことが重要です。
まとめ
フィボナッチ・ファンとはフィボナッチ・リトレースメントの斜め線のバージョンとなります。
上昇トレンドを継続している場合は、一旦下がるポイントどのくらい下がるのか?
下降トレンドを継続している場合は、一旦上がるポイントでどのくらい上がるのか?を検討する際に一つの目安となるラインとなります。
フィボナッチ・ファンの引き方として絶対的な正解はないように思いますが、最安値と最高値を基準に引く。
エリオット波動の第1波の安値と第5波の高値を基準にするなどがあります。
ただラインが機能していないように感じた場合は、基準にしている安値、高値を変更してみるのも良いかと思います。
どのくらいラインに反応しているのかについてですが、ランダムに1つの通貨ペアを選び検証してみましたが、ほとんどの時間足でライン付近で何らかの反応があるように見えました。
ただこのライン付近から、その後にどちら方向へ動くかはわからないためエントリーに使う際は他の根拠も組み合わせて使うのが良いかと思います。
既にポジションを持っていた場合は、利益確定の目安のラインとして使用するということもできそうです。
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